釣上つりあが)” の例文
擧げた顏は眞四角で、眼が少し釣上つりあがつて、年頃で若々しさは匂ひますが、先づみにくい方の娘でした。年は十九か二十歳はたちといふところでせう。
これを直ぐに抜出そうとすれば薄い膜を破って筋をるばかりで造作ぞうさもないけれども上の方の睾を先へ抜くと下の方のが奥へ釣上つりあがってとても抜けなくなる。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
色彩に亢奮こうふんしていた私の神経の所為せいか、花嫁は白粉おしろいを厚く塗ってはなはうつくしいけれど、細い切れた様な眼がキット釣上つりあがっている、それがまるで孤のつらに似ている。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
ぬばたまの夜の黒髪にすヒラヒラする銀紙の花簪はなかんざし、赤いもの沢山の盛装した新調の立派な衣裳……眉鼻口まゆはなくちは人並だが、狐そっくりの釣上つりあがった細い眼付めつきは、花嫁の顔が真白いだけに一層いっそうすごく見える。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)