金蓮きんれん)” の例文
ほかに兄弟もなく、親戚みよりも少ないので、この金蓮きんれんとただふたりで月湖げっこの西に仮住居をいたしております
世界怪談名作集:18 牡丹灯記 (新字新仮名) / 瞿佑(著)
素性すじょうを聞くともと奉化県ほうかけん州判しゅうはんむすめで、姓は、名は麗卿れいきょうあざな淑芳しゅくほうじょちゅうの名は金蓮きんれんであると云った。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ところが、肝腎かんじん武大ぶだのほうでは、一こうにうけるふうがないのだ。あくまで金蓮きんれんかばっている。しかも街道一の古舗しにせの大旦那が、ひとの女房に手を出すはずがあるもんか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは金瓶梅を読みさして出た岡田が、金蓮きんれんに逢ったのではないかと思ったのである。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
金蓮きんれんという召仕いの小女がいつも牡丹燈をかかげて案内して来るのでございます。
金蓮きんれんはすっかり穿き違えてしまった。女にはよくありがちな心理でもある。武松がてれ臭そうに訪ねて来たのは、私に未練があるからだと自分に都合のいい解釈をしたものだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金蓮きんれん、こちらでちょっと休まして戴きますから、お前もおいで」
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
この金蓮きんれんとただふたりで月湖げつこの西に仮住居をいたして居ります
金蓮きんれんの身は奴隷どれい仲買人の手にもやらず、彼女の持ち物だけを嫁入り支度として、これを町じゅうで小馬鹿にしている醜男ぶおとこで生活力もない評判の武大ぶだへ女房にくれてしまったのである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)