金縛かなしば)” の例文
いま馬超を語らうことは至極たやすく、しかも馬超ひとりを動かせば、曹操以下三十万の精兵も魏一国に金縛かなしばりにしてしまうことができましょう
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
徳義だとかたしなみだとか云って自分を金縛かなしばりにしている、そんなことがなんの役に立つんです、あなたは生きているんですよ、あなたは現に生きていて若いんだ
燕(つばくろ) (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
刹那せつな彼の神経を萎縮いしゅくさせて、とっさの判断、敏速機宜きぎの行動等をいっさい剥奪はくだつし、呆然として彼をいわゆる不動金縛かなしばりの状態に、一時佇立ちょうりつせしめたのだと省察することができる。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
この逆説パラドックスは正しいと私は思う。生命の向上は思想の変化を結果する。思想の変化は主張の変化を予想する。生きんとするものは、既成の主張を以て自己を金縛かなしばりにしてはなるまい。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「八、もう宜い。修驗者なんかにからかつて居ると、不動の金縛かなしばりを喰ふぞ」
そのまま、退屈男の前へ金縛かなしばりにあったように立ちすくんでしまいました。
このものすごい武士の唱えた呪文じゅもんで、お松は金縛かなしばりにされてしまった。