野次やじ)” の例文
「軍医殿は、人間のお料理ばかりかと思っていたら、栄螺のお料理も、おたっしゃなんだね」と、星宮理学士が野次やじった。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
若い見物たち、ことに学生や商店員たちは、得たりかしこしと、このお面を利用し、そのかげに顔を隠して、舞台の踊子を、思う存分野次やじり飛ばした。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
だが、下劣な野次やじと、乱闘はますますはなはだしく、議場の混乱は年と共にひどくなるばかりだ。
興行前にまず宣伝とあって、新調の背広に鳥打帽子、両肩から望遠鏡と水筒を綾にかけ、脚半きゃはんわらじという物々しい扮装で浅草公園あたりをブラつく、やあ川上だ、と野次やじがぞろぞろ。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
また君らの中には、べつに深い考えもなく、お調子にのって面白半分に野次やじをとばしているものもいるだろう。僕はそういう人に対しては何も言いたくない。僕はそういう人を軽蔑するだけだ。
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「愚民とは何だ、人民と言へ!」と、ここで初めて野次やじが飛ぶ。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
途端とたんに、夏繪なつゑたたきながら、復讐的ふくしふてき野次やじてた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
私はこゝらで一つ野次やじってやらうと思ひました。
林の底 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
と口々に野次やじり出した
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
それを誰かが野次やじったものらしくドッと笑声がわきあがったが、どうしたものか、其後そのご一座は、たいへん静かであった。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すると、にぎやかな笑い声にまじって、いろんな野次やじがとんだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)