郎女イラツメ)” の例文
南家ナンケ郎女イラツメ神隠カミカクしにつたのは、ソノ夜であつた。家人は、翌朝空がれ、山々がなごりなく見えわたる時まで、気がつかずに居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
横佩墻内カキツ郎女イラツメは、どうなるでせう。社・寺、それとも宮——。どちらへ向いても、神さびた一生。あつたら惜しいものでおありだ。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
横佩墻内カキツ郎女イラツメは、どうなるでせう。社・寺、それとも宮——。どちらへ向いても、神さびた一生。あつたら惜しいものでおありだ。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
横佩墻内ヨコハキカキツ郎女イラツメは、どうなるでせう。社・寺、それとも宮——。どちらへ向いても、神さびた一生。あつたら惜しいものでおありだ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其で、今日昼の程、奈良へ向つて、早使ハヤヅカひを出して、郎女イラツメの姿が、寺中に現れたゆくたてを、仔細に告げてやつたのである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
南家ナンケ郎女イラツメの手に入つた稱讃淨土經も、大和一國の大寺オホテラと言ふ大寺に、まだ一部も藏せられて居ぬものであつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
南家ナンケ郎女イラツメの手に入つた稱讃淨土經も、大和一國の大寺オホテラと言ふ大寺に、まだ一部も藏せられて居ぬものであつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
屋敷から、一歩はおろか、女部屋を膝行ヰザり出ることすら、たまさかにもせぬ、郎女イラツメのことである。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
奈良盛時の大伴坂上郎女イラツメが、別れを惜しむ娘を諭して「常夜にもわが行かなくに」と言うたのは、海のあなたを意味したものとも取れるが、多少さうした匂ひをも兼ねて
古代生活の研究:常世の国 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
南家の郎女イラツメの幸福な噂が、春風に乘つて來たのは、次の春である。姫は別樣の心躍りを、一月も前から感じて居た。さうして、日をり初めて、ちようど、今日と言ふ日。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
乙麻呂ほど身分高い人でもなかつた為、注意を惹かなかつた点もあらうが、罪は越前への近流だけにやや軽かつたであらう。相手方の狭野サヌ茅上チガミ郎女イラツメは罪に問はれて居ないらしい。
相聞の発達 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
而もウブな形は、年月を経ても残つてゐた。大伴オホトモ坂上サカノヘ郎女イラツメの別れを惜しむ娘を諭して「常夜にもわが行かなくに」と言うてゐるのは、後世の用語例をも持ちながら、原義を忘れて居ない様である。