遡航そこう)” の例文
夜靄よもやは深くたれこめていた。二十余艘の兵船は、おのおの、ともづなから纜を一聯に長くつなぎ合い、徐々と北方へ向って、遡航そこうしていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その本流と付知つけち川との合流点を右折して、その支流一名みどり川を遡航そこうするふなべりに、早くも照り映ったのはじつにその深潭しんたん藍碧らんぺきであった。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
チャレンジャー教授は、カヌーに乗って、その支流の一つを遡航そこうした。そしてインディアンの部落で、丁度今息を引きとったばかりの白人の遺骸いがいにあう。
川を遡航そこうする時間は長くて五分くらいだし、くだりのときは三分たらずであるが、その水上と土堤との短くはかない、けれども誰にも気づかれることのない愛の交換は
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
遡航そこう氷室ひむろ山の麓は赤松の林と断崖のほそぼそとした嶮道けんどうに沿って右へ右へと寄るのが法とみえる。「これが犬帰いぬがえりでなも」とうしろから赤銅しゃくどうの声がする。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
数千の兵船が、舳艫じくろをならべて遡航そこうしつつあるとのこと。また、三江の江岸一帯、前代未聞の水寨すいさいを構築しています。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
川を遡航そこうする時間は長くて五分くらいだし、くだりのときは三分たらずであるが、その水上と土堤との短くはかない、けれども誰にも気づかれることのない愛の交換は
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)