遠侍とおざむらい)” の例文
遠侍とおざむらいらしいところに、七、八人の家来が武者あぐらを掻いていた。小源二は千枝太郎を彼らに引き合わせて、再び表へ出て行った。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あるじはいない邸である。夜はなおさらじゃくとして、燈火ともしびの影は遠侍とおざむらいのいる部屋にしかしていない。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
明かしてやろう! みんな俺のやったことよ! 彼らにしたたか酒くらわせ、遠侍とおざむらいや廊の詰め所に、夢こんこんと結ばせているのじゃ! ……さてそこでこの右源次様が
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「そちも、当家に仕えて、はや六年ほどにはなるのう。あとで、家司の臣賀に、申しておこう。……きょうよりは、小次郎を、青侍あおざむらいにとりたてて、遠侍とおざむらいの間において、働かせいと」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身をよろって来た張りあいもないほどである。——が、仙洞せんとうへ来てみると、武者所の一門はひらかれ、一殿でん遠侍とおざむらい、また、もる寝殿しんでんの灯など、常ならぬ気配はどこやらにある。