ずつ)” の例文
小學校での成績は、同じ級のお八重よりはずつと劣つてゐたさうだが、唯一つ得意なのは唱歌で、其爲に女教員からは一番可愛がられた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
田といふ田には稻の穗が、琥珀こはく色に寄せつ返しつ波打つてゐたが、然し、今年は例年よりも作がずつと劣つてゐると人々がこぼしあつてゐた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
田といふ田には稲の穂が、琥珀色に寄せつ返しつ波打つてゐたが、然し、今年は例年よりも作がずつと劣つてゐると人々がこぼしあつてゐた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
小学校での成績は、同じクラスのお八重などよりはずつと劣つてゐたさうだが、唯一つ得意なのは唱歌で、其為に女教員からは一番可愛がられた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『ククヽヽクウ。』といふ聲はずつと後ろに聞えた。智惠子は何時しか雜木の木立を歩み盡きて、幾百本の杉の暗く茂つた、急な坂の上に立つてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『ククヽヽクウ。』といふ声はずつ背後うしろに聞えた。智恵子は何時しか雑木の木立を歩み尽きて、幾百本の杉の暗く茂つた、急な坂の上に立つてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『ええ、ええ、それはもうずつと遠方で、南部の鐵瓶を拵へる處よりも、まだ餘程田舍なさうでございます。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『ええ、ええ、それはもうずつと遠方で、南部の鉄瓶を拵へる所よりも、まだ余程田舎なさうでございます。』
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
横川松太郎は、同じ縣下でもずつと南の方の、田の多い、養蠶の盛んな、或村に生れた。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
横川松太郎は、同じ県下でもずつと南の方の、田の多い、養蚕の盛んな、或村に生れた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
かしましく雀が鳴く。智恵子はそれをずつと遠いところの事の様に聞くともなく聞いた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
僕は中學の畫の教師なんかやるのが抑も愚だと言つてつたんだ。奴だつて學校にゐた時分は夢を見たものよ。尤も僕なんかよりずつと常識的な男でね。靜物の寫生なんかに凝つたものだ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
僕は中学の画の教師なんかやるのがそもそも愚だと言つて遣つたんだ。奴だつて学校にゐた時分は夢を見たものよ。尤も僕なんかよりずつと常識的な男でね。静物の写生なんかに凝つたものだ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ずつと隔つた處にゐて、とうから天理教に歸依してるといふ事は、豫て手紙で知つてもゐ、一昨年の暮弟の家に不幸のあつた時、その親戚からも人が來て重兵衞も改宗を勸められた事があつた。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ずつと隔つた処にゐて、とうから天理教に帰依してるといふ事は、かねて手紙で知つてもゐ、一昨年の暮弟の家に不幸のあつた時、その親戚からも人が来て重兵衛も改宗を勧められた事があつた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
私が、まだずつと稚なかつた頃、何か強情でも張つて泣く様な時には
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
智惠子はそれをずつと遠いところの事の樣に聞くともなく聞いた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)