“遁腰（にげごし）” の例文
名を蔵人（くらんど）蔵人といって、酒屋の御用の胸板を仰反（のけぞ）らせ、豆腐屋の遁腰（にげごし）を怯（おびやか）したのが、焼ける前から宵啼（よいなき）という忌（いま）わしいことをした。
式部小路 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
覗くは失礼と控えたのが、遁腰（にげごし）で水口から目ばかり出したと思うと、反返（そりかえ）るように引込（ひっこ）んで
婦系図 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
とは云ったが、思入った人の体に、気味悪くもなって、遁腰（にげごし）の膝を浮かせる。
婦系図 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
遁腰（にげごし）に、扉（ひらき）を半開（はんびら）きに壓（おさ）へて、廊下（らうか）を透（す）かしながら、聞定（きゝさだ）めて
浅茅生 (旧字旧仮名) ／ 泉鏡花(著)
爺さんは遁腰（にげごし）に天秤（てんびん）を捻（ひね）って
日本橋 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)