速水はやみ)” の例文
速水はやみがオーイと声をかけると、自動車の扉がサッと開いた。待っていた運転手が、速水の声に応じて、内側から開いたものらしかった。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
馬上に握り飯を取って喰い、湯柄杓ゆびしゃくで寸時のかついやしたぐらいで、秀吉は、くに長浜を出、曾根、速水はやみと駈けつづけていた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東軍は秀頼の籠る山里曲輪くるわを目がけて砲撃したから、翌五月八日、遂に秀頼淀君と共に自刃し、治長、速水はやみ守久、毛利勝永、大蔵卿等之に殉じた。
大阪夏之陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
公儀御用の御筆師ふでし室町むろまち三丁目の「小法師甲斐こぼうしかい」は、日本橋一丁目の福用ふくもち常盤橋ときわばし速水はやみと相並んで繁昌しましたが、わけても小法師甲斐は室町の五分の一を持っているという家主で
数日後、速水はやみ荘吉、あるいは綿貫わたぬき清二、あるいは鮎沢あゆさわ賢一郎、あるいは殿村啓介けいすけ、あるいは宮野緑郎、あるいは佐川春泥しゅんでい、その他無数の名を持つ影男は、帝国ホテルの一室におさまっていた。
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それで、未だ推付けやうが悪い、もつと早く早くと仰せられるものでございますから、御殿に居ります速水はやみと申す者はあんまり急ぎましたので、耳の此処ここひどちまして、血を出したのでございます
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ただ今私を御紹介下さった速水はやみ君は知人であります。昔は御弟子で今は友達——いや友達以上の偉い人であります。しかし、知りあいではありますけれども、速水さんから頼まれた訳でもありません。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そしてその解決を得るために、速水はやみ輪太郎のところへ、時計と貨幣とを届けろと命令したのだった。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あるいは速水はやみ荘吉、あるいは鮎沢あゆさわ賢一郎、あるいは綿貫清二わたぬきせいじ、等々の人物として、そのときどきの使いのものから、この局留め郵便物を受け取っていたが、その中に、近ごろは毎回のように
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
速水はやみのような風変りの街の科学者を駆使し、色っぽいお照のような女にあがめられ、そして僕のようなものを救うという不思議な人物、そしてまた今、運転手から尊敬の言葉を聞き
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)