逃失にげう)” の例文
トロツキーは今すこしで気絶するところであった。王冠と、釣竿と、帽子と、木靴を残して一目散に逃失にげうせてしまった。
書けない探偵小説 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
すべて此の里のふるき人は兵乱ひやうらんの初めに逃失にげうせて、今住居する人は大かたほかより移り来たる人なり。只一人ひとりおきなの侍るが、一三四所にひさしき人と見え給ふ。
『あれ/\、あの醜態ざまよう。』とゆびざ彼方かなた見渡みわたすと、生殘いきのこつたる獅子しゝ一團いちだんは、くもかすみ深林しんりんなか逃失にげうせた。