軽袗かるさん)” の例文
とおまんが気をきかして古風な昼寝用の箱枕を夫に勧める間もなく、清助は木曾風な軽袗かるさんをはいて梯子段はしごだんを上って来た。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
愛らしい軽袗かるさんばきの姿に、鳶口とびぐちを携え、坂になった往来の道を利用して、朝早くから氷すべりに余念もない男の子の中には、半蔵が家の宗太もいる。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
寿平次も正己を連れて屋外そとからもどって来た。二人とも山遊びらしい軽袗かるさんばきだ。兄はお民を見ると、自分の腰につけている軽袗のひもをときながら
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「もうお帰りですか。」と言いながら、仕事着らしい軽袗かるさんばきで、寿平次は半蔵のあとを追いかけて来た。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ときく人は、木曾風俗の軽袗かるさんばきで、猟師筒を肩にかけている。屋敷町でない方に住む福島の町家の人で、大脇自笑おおわきじしょうについて学んだこともある野口秀作というものだ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこには四男の和助までが、近所の年長としうえの子供らの仲間にはいりながら、ほっペたをあかくし、軽袗かるさんすそのぬれるのも忘れて、雪の中を歩き回るほど大きくなっていた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その時、木曾風俗の軽袗かるさんばきでお粂らの方へ河岸を走って来る二人ふたりづれの旦那衆がある。見ると二人とも跣足はだしで土を踏んでいる。両手を振りながら歓呼をもあげている。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
二人とも山家風やまがふう軽袗かるさん(地方により、もんぺいというもの)をはいて出かけたものだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
腰に結ぶ軽袗かるさんひももそこそこに、くつろぎのから囲炉裏ばたに出て下男の佐吉を呼んだ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)