蹴転けころ)” の例文
旧字:蹴轉
とうとすると、またすぐに蹴とばされた。四度ほどまりのように蹴転けころがされて、太陽の直射を浴びると同時に、彼は、草ぼこりと一緒に、猛然と大地に両足を踏ンばった。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なんでもないこと、小間こまの牛で」「いかにもそうだ、さあここは?」「へい、横山梁よこやまにございます」「うん、そうだ、さあここは?」「ヘッヘッヘッヘッ、蹴転けころでさあ」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これ、土手で売る馬肉じゃあないが、蹴転けころの女郎の切売を買ったって、当節では大銭だろう。女房は無銭ただで貰うんだ——娘に……箪笥たんす、長持から、下駄、からかさ、枕に熨斗のしが附いてるんだぜ。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こういうお触れ書きが出たんだとよ、『布衣ほい以下は、格別の訳合有之これある節は、根津、音羽等へも相越し、平日は蹴転けころ(最下等の女郎)し、または百蔵ももぞう(同様)相用いらるべく候』
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)