蹉跎さた)” の例文
壮志蹉跎さた行われずといえども、護国的精神、敵愾てきがい的気象は、沸々として時勢の児の血管中に煮えあがれり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
川島は満洲朝の滅亡と共に雄図蹉跎さたし、近くは直隷軍の惨敗の結果が宣統帝の尊号褫奪ちだつ宮城明渡しとなって、時事日に非なりの感に堪えないで腕をやくしているだろうが
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
宿昔青雲志、蹉跎白髪年、誰明鏡裏、形影自相憐宿昔しゅくせき 青雲せいうんこころざし蹉跎さたす 白髪はくはつとし。誰か知る明鏡めいきょううち形影けいえいみずかあいあわれむ〕とはこれ人口に膾炙かいしゃする唐詩なり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
今日憲政の運用蹉跎さたとして振るわざる国は多くはこれらの特権階級が徒に旧時代の夢想に耽るところの国である。過去において彼らは形式的制度の上で一般人民の支配者であった。
船員曰く、君らの志は善し、しかれども二国交親せんと欲するの今日において、ひそかに君らを載せ去る、二国の国交を如何せんと。万里鵬挙ほうきょの志またここにおいて蹉跎さたたり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)