跋文ばつぶん)” の例文
馬琴の口述を嫁のおみちさんが泣き泣き紙に写したというが、最後の原稿である「八犬伝跋文ばつぶん」はひじょうな名文である。
平次と生きた二十七年 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
『馬琴日記しょう』の跋文ばつぶんにも、馬琴に向って、君の真価は動かない、君の永遠なる生命は依然としている、としています。つまり贔屓ひいきなのでしょう。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
とにかくお手もとの御本は、院のお供をして、承久乱後隠岐おきに移された。院はそれをもとにして、多くの歌を除かれ、はるか歌数の少ない御本を作られ、それに跋文ばつぶんを添えられた。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
跋文ばつぶんは香以が自ら草している。その他数人の歌俳及古今体狂詩が添えてある。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
跋文ばつぶんを読むに、この書は二世瑞仙晋ずいせんしんの子直温ちょくおんあざな子徳しとくが、慶応元年九月六日に、初代瑞仙独美の五十年忌辰きしんあたって、あらたに歴代の位牌いはいを作り、あわせてこれを纂記さんきして、嶺松寺に納めたもので
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)