赤斑あかまだら)” の例文
あくまたちは赤斑あかまだらなるべく、山なし姫は山立ち姫なるべし、野猪をいうとなん、野猪は蛇を好んで食う、殊に蝮を好む由なり
届書とどけしょを出す時、種類という下へ混血児あいのこと書いたり、色という字の下へ赤斑あかまだらと書いた滑稽こっけいかすかに胸に浮んだ。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
のまわり、胸に、六ところ、剃り落しても剃り落しても赤斑あかまだらの毛が生える、浅間しさ、なさけなさに取詰めた、最後は、蜑女あまの絵が抜出したように取乱して、表二階の床の掛軸「喝」という字に
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やがて、むっくりと起上って、身を飜した半身雪の、つまを乱して、手をつくと、袖がさがって、もすそさばいて、四ツいになった、背中にも一ツ、赤斑あかまだらのある……その姿は……何とも言えぬ、女のいぬ
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)