豪放ごうほう)” の例文
すべてが豪放ごうほうで、雄大で、何でも人目ひとめを驚かさなければ止まないと云う御勢いでございましたが、若殿様の御好みは、どこまでも繊細で
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
すると、そこにまっな顔をして、ゆうゆうとさけを飲んでいた豪放ごうほうらしいさむらいがある。一同をながめると、莞爾かんじとしてむかえながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……あれも長いこと都の中で育ったせいか、どうもあの軟弱な都の悪風に染まってしまって、豪放ごうほうなところが欠けていて困る。あれだけは厳しくしつけて直さなければどうにもならんな。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
自分の豪放ごうほうらしい言葉に、久し振りに英雄的な気分になれたらしく、上機嫌になって、晩めしを一しょに喰いたいけれども、はずせぬ用事があるからと断って、真佐子と婿に代理をさせようと
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それからまた一人を豪放ごうほうな男にすれば、一人を繊弱せんじゃくな男にするのにもやはり微笑ほほえまずにはいられません。現にK君やS君は二人とも肥ってはいないのです。
手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ですから、時に、暴を働き、治をみだし、徒党となっては群盗と変じ、散じては良民をかすめ、野伏のぶせり野武士などの名をもって呼ばれていますが、その本質は豪放ごうほう任侠にんきょうです。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元々、五郎右衛門だけは、幼年から石舟斎の規格にもはまらない豪放ごうほうな性質ではあったが、その後、諸国をあるいているうちに、小早川金吾秀秋の家に仕えていると、風の便りに聞えていた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)