護謨靴ゴムぐつ)” の例文
夫は戸の外をゆびさしてなほ去らざるを示せり。お峯は土間に護謨靴ゴムぐつと油紙との遺散おちちれるを見付けて、由無よしなき質を取りけるよとおもわづらへる折しも
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
箱を差したように両人気はしっくり合ってるけれども、その為人ひととなりは大いに違って、島野は、すべて、コスメチック、香水、巻莨シガレット洋杖ステッキ護謨靴ゴムぐつという才子肌。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここには芋の皮をむき始めるものがある。広瀬さんは背広に長い護謨靴ゴムぐつばきでその間を歩き廻った。
食堂 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
今度は妙子がエメラルド色のオイルシルクの雨外套あまがいとうを着、護謨靴ゴムぐつ穿いて出かけようとした際にも、こいさん、まあえらい時に出かけるねんなあと、幸子が云ったことは云ったけれども
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あの先生には泥だらけな護謨靴ゴムぐつでも何でもはいて、魚河岸をけ廻って来るような野蛮なところがあります。お母さんの前ですが、私にはそういうものが欠けています
食堂 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)