諮問しもん)” の例文
中務なかつかさ省へ、使に走った者は、省の役人から、むずかしい法規と諮問しもんをうけて、手間どっているのであろうか、なかなか、戻ってこなかった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実隆やむを得ずこれを承諾したが、いかにせん実隆所持したところの聞書をば、ことごとく焼失したために、大概のみのほか諮問しもんに答うることができなかった。
諸臣をあつめて太子の廃否を諮問しもんする。天皇のむねならばそむかれませぬ、大臣以下諸臣の答えは、そうだった。即日太子を廃して、自宅へ帰してしまったのである。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
勘調所は老職総務部に属し、政治の監査と、藩主の諮問しもん機関を兼ねている。又四郎はその記録係の責任者であるが、五人いる下僚たちからも、当分のあいだ悩まされた。
百足ちがい (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そこで妾は変な諮問しもんを受けることとなった。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
吉田両人の持つ実際的な知識に諮問しもんし、同時に、人員の配備と、軍全体の戦闘も、すべてそれへ一転集中させるためのものであることはいうまでもない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜならば、冀州国中の民数戸籍を正すには、どうしても崔琰さいえん諮問しもんしなければ整理ができなかったからである。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つとに彼も認めているものであるが、彼のような若輩に対しても、南方経略の要諦を諮問しもんしているところに、宰相孔明がみずから率いて向った今度の南蛮征討に
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
他国は知らず、わが越後では、軍の方策も、内治の仕方も、すべて謙信公の御一存であって、諮問しもんを受くる者も、ごく少数の老臣と帷幕いばくのお方に限られております。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の諮問しもんに答えて、諸大将からもそれぞれ意見が出たが、その中で、例の蒋幹しょうかんがすすんで云った。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慈円じえんが、身にひきうけたと申せ。しかし、中務省の役人から、なにかの、諮問しもんはあろう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諮問しもんをうけた面々もまた、のきに火がついたような困惑こんわくを顔色に燃やしながら
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
将来の海外雄飛にわたる抱負ほうふまでを、何くれとなく諮問しもんしていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
魯粛ろしゅくは慎重に、孫権の諮問しもんにこたえた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、諮問しもんしたそうである。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)