とな)” の例文
なるほど木村重吉は一応由子のお妾志願に反対をとなえたのだが、それは情熱に偏した人の言葉ではなく、批判者の言葉にすぎなかつた。
姉が強硬に不同意をとなえたことなどから考えると、誰か心に思いつめている人があって、それが意のままにならない、という様なことが姉の死を早めたのではないか、とね。
モノグラム (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
義戦をとなえて、武田を贋懲ようちょうすべき時が到来したのである。
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「さういふ意味でしたら勿論不賛成をとなへる筋はないわけです。然し、ちよつと、待つてください……」
狼園 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
しかるに嗚乎、かの無礼なる蛸博士は不遜千万にも余の偉大なる業績に異論をとなへたのである。
風博士 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
しかるに嗚乎、かの無礼なる蛸博士は不遜千万にも余の偉大なる業績に異論をとなえたのである。
風博士 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
聖旨ならばと云つて、もとより諸臣はこれに反対をとなへることはできなかつた。
道鏡 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)