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誚
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そしり
ふりがな文庫
“
誚
(
そしり
)” の例文
寒生のわたくしがその境界を
窺
(
うかが
)
い知ることを得ぬのは、
乞丐
(
こつがい
)
が帝王の
襟度
(
きんど
)
を
忖度
(
そんたく
)
することを得ぬと同じである。
是
(
ここ
)
においてや僭越の
誚
(
そしり
)
が生ずる。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
人の怨の、世の
誚
(
そしり
)
のと言ふけどの、我々同業者に対する人の怨などと云ふのは、面々の手前勝手の愚痴に過ぎんのじや。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
世の
誚
(
そしり
)
人の
蔑
(
さげすみ
)
も迷へるものは
顧
(
かえりみ
)
ず。われは唯この迷ありしがためにいはゆる当世の教育なるもの受けし女学生
上
(
あが
)
りの新夫人を迎ふる災厄を
免
(
まぬか
)
れたり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
其事は
猥瑣
(
わいさ
)
にして言ふに足らぬが、幕末の風俗を察する一端ともなるべきが故に、
姑
(
しばら
)
く
下
(
しも
)
に録存する。
榛楛
(
しんこ
)
翦
(
き
)
るなきの
誚
(
そしり
)
は甘んじ受くる所である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
素
(
もと
)
わたくしは支那の古医書の事には
懵
(
くら
)
いが、此に
些
(
ちと
)
の註脚を加へて、
遼豕
(
れうし
)
の
誚
(
そしり
)
を甘受することとしよう。病源候論は隋の
煬帝
(
やうだい
)
の大業六年の撰である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
しかしこれは新たなる性命に犠牲を供するのである。わたくしはこんな分疏をして、人の
誚
(
そしり
)
をかえりみない。
空車
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
好色の
誚
(
そしり
)
は榛柏の兄弟皆免れなかつたが、二人は其挙措に於て大に趣を殊にしてゐた。榛軒は酒肆妓館に入つて豪遊した。しかし家庭に居つては謹厳自ら持してゐた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
然るにいわゆる芸人に名取の制があって、今なお
牢守
(
ろうしゅ
)
せられていることには想い及ぶものが
鮮
(
すくな
)
い。尋常
許取
(
ゆるしとり
)
の
濫
(
らん
)
は、芸人があるいは人の
誚
(
そしり
)
を辞することを得ざる所であろう。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
誚
漢検1級
部首:⾔
14画