よし)” の例文
加之それに顔立かほだちなり姿なり品の好いであツたから、よしや紫の色が洗ひざれてはげちよろけて來ても、さして貧乏びんぼんくさくならなかつた。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
併し風早學士は、ちつとも其樣なことに就いて考へなかつた。其がよしや何樣な人であツたとしても、彼の心に何んの衝動も感覺も無かツた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
お房の其の美しい肌が處女の清淨せいじやうたもツてゐるか何うかといふこと、よしまた其の肌が清淨を保ツてゐるにしても、其の心は何者かにけがされてゐはせぬかといふことが氣にかゝつて來たのであつた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そして家へ歸ると直に、澤山の原書を取ツ散かした書齋に引籠ひきこもツて、ほんを讀むとか、思索に耽るとか、よし五分の時間でもむだに費やすといふことが無い。ひとから見れば、淋しい、單調な生活である。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)