ことづけ)” の例文
「今度お逢いでしたら、貴方あんたから、わしに、ことづけを一つ頼まれて下さらんじゃろうかね。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ことづけというのはそれなんだがね、お雪はとてもたすからないのだから、私も今まで乗懸のりかかった舟で、この娘の魂をお前さんにおんぶをさして上げるからね、そっと篠田の処まで持って行くのだよ。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昼の内は宰八なり、誰か、時々お伺いはいたしますが、この頃は気怯きおくれがして、それさえ不沙汰ぶさたがちじゃに因って、私によくお見舞い申してくれ、と云う、くれぐれもそのことづけでございました。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お客様、お前は性悪しょうわるだよ、この子がそれがためにこの通りの苦労をしている、篠田と云う人と懇意なのじゃないか、それだのにさ、道中荷が重くなると思って、ことづけも聞こうとはせず、知らん顔を
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)