言海げんかい)” の例文
いったいこの「はびこる」とはいかなる意味か、『言海げんかい』を見ると横行、強梁きょうりょうなどいう漢字を充用し、いひろがる意とある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
言海げんかい』を見るに邦語の「なぐさめ」はなぐより出た語であって(風がなぐ(凪)の類)、「物思いを晴らしてしばし楽む」を意味するという。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
日頃苦にして、使う時にはきっと言海げんかいを引いて見る、うろ覚えの字さえそのままで少しも気にかからなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
我国語の字書は『言海げんかい』の著述以後やうやうに進みつつあれどもなほ完全ならざるはいふに及ばず。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
こないだは又、お前のところから机と言海げんかいを買うお金を
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これは「言海げんかい」の猫の説明である。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
水仙や表紙とれたる古言海げんかい
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
大槻おおつき先生はその著『言海げんかい』において、人並みという言葉を説明して、世の常の人のつらなること、尋常じんじょうと説いている。これをもって見ても人並みまたは一人前ということが平均とは違うことがわかる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)