)” の例文
先生は、こういう非常のときにも、学者らしい執着を忘れずに蒼めた顔をしながらいかにもそのひとらしく、こんな減らず口を叩く。
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
帳場格子の中に頬杖突いて凝乎じっとこちらのほうを眺めております親父の顔なぞが、竦然ぞっとするほど青めた恐ろしい人相に映りましたり
蒲団 (新字新仮名) / 橘外男(著)
私の顔を一心に凝視している姉と妻の青めた顔を見比べながら、何とも言えない不可思議な恐怖の感じを、背筋一面にいまわらせていた。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
花形模樣色めて、ときの數字もさらぼひぬ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
私は音のない雷に打たれたようにドキンとしながら、ガックリと俛首うなだれてしまいました。多分、私の顔は死人のように青めていたことでしょう。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
税関吏は青め切って完全に恐れ入ってしまったが、しとやかなはずの伯爵夫人が錺屋かざりやと洗濯屋の娘の本性を現して、手錠をめられた口だけは達者に、ソノ猛ること猛ること!
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
アダリンを沢山たくさんんで、青めた二人の妹に見守られながらグッスリと眠ってしまいました。このままで死んでしまえばいいと思いながら……。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)