装幀さうてい)” の例文
勝峯晉風かつみねしんぷう氏の教へによれば、俳書の装幀さうていも芭蕉以前は華美を好んだのにも関らず、芭蕉以後は簡素の中にびを尊んだと云ふことである。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それから私の学校の生徒、太田澄さん、山崎美枝子さん、大村ひろ子さんが原稿の清書をしてくれました。插絵と装幀さうていはすぐれた画家棟方志功むなかたしこうさんが受けもつて下さいました。
翁は日本の三十一音から成るタンカを知つて居て「今もなほ如此かくのごとき素朴な詩の作られるのは懐かしい」と云ひ、その装幀さうていの美をめて「これが自分の書斎へ来た最初の日本の出版物だ」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
(彼の詩集は幸か不幸か紙の切つてない装幀さうていだつた。)けれども滅多めつたに売れたことはなかつた。そのうちにだんだん紙も古び、仮綴かりとぢの背中もいたんで行つた。
詩集 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
若し僕の名も残るとすれば、僕の作品の作者としてよりも小穴君の装幀さうていした本の作者として残るであらう。これは小穴君にびるのではない。世間にへりくだつて見せるのではなほ更ない。
僕の友だち二三人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)