スカート)” の例文
サ……サ……サ……サ……とかすかな音をさせて、……スカートすそでも、障子に触れるような音であったという。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
それは二三年前に流行はやった裾の開きの極めて狭いスカートで、足の位置が割合にドアから離れているのは、現在大流行をしている固いコツコツした、つばの広い帽子をかぶっているためである。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
乗馬袴を、毛布のやうに厚ばつたい白と黒の荒い格子のスカートにはきかへた、Nは同じやうな地質の地味な鳶色の袴をつけて上から幅の広い皮のバンドをしめた、そして葡萄酒色のネクタイを結んだ。
山を越えて (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
それまで気づかなかつたが、羽織の下の百合子の服は、真ツ白な長いスカートだつたので、それが灯りの影に煙りのやうに翻りながら汀の廻廊を折れ曲つて見る/\うちに闇の中へ吸ひ込まれて行つた。
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)