表装ひょうそう)” の例文
旧字:表裝
表装ひょうそうまでして売るようになったのも自然なことで、これにもわずかずつのちがいはあるようだが、大体にこれを作らせた人は僧侶たちであった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
が、同時に彼は、美しいつばをはめた刀や、蒔絵まきえの箱や、金襴きんらん表装ひょうそうした軸物などが、つぎつぎに長持の底から消えていくのを、淋しく思わないではいられなかった。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そうしてその上には怪しげな楊柳観音ようりゅうかんのんの軸が、すすけた錦襴きんらん表装ひょうそうの中に朦朧もうろう墨色ぼくしょくを弁じていた。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
つけてあります。待ってください。えーと、これですよ。これは表装ひょうそうだけはりっぱですが、名もない画家の作です。あいつに取られても、いっこうおしくないしろものです。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
犬山画伯も大よろこび、註文の絵の表装ひょうそうが間にあわないというさわぎだ。
一坪館 (新字新仮名) / 海野十三(著)