“蛙(けえろ)” の例文
お飯粒(まんまつぶ)を撒(ま)いてやった、雀ッ子にだって残懐(なごり)は惜(おし)いや、蔦ちゃんなんか、馴染(なじみ)になって、酸漿(ほおずき)を鳴らすと鳴く、流元(ながしもと)の蛙(けえろ)はどうしたろうッて鬱(ふさ)ぐじゃねえか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「蛙(けえろ)だ、蛙だ。はははは、こいつア可い。なるほど蔦ちゃんの情人かも知れねえ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
己(おれ)が十二の小僧の時よ。朝露の林を分けて、塒(ねぐら)を奥山へ出たと思いねえ。蛙(けえろ)の面(つら)へ打(ぶっ)かけるように、仕かけの噴水が、白粉(おしろい)の禿げた霜げた姉さんの顔を半分に仕切って、洒亜(しゃあ)と出ていら。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)