蘩蔞はこべ)” の例文
蘩蔞はこべ」の花の砂よりも小くして真白ましろなる、一ツ一ツに見来みきたれば雑草にもなかなかに捨てがたき可憐かれんなる風情ふぜいがあるではないか。
神アヱオイナ、アイヌ・ラクグル(アイヌの臭ひある人)の後、かんながら蘩蔞はこべかしら、土のたい、柳の背骨、シネ・シツキ・プイコロクル(眼窩の人)神々の髪の毛の人。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
山鳩やまばとには麻の実があり、ひわにはきびがあり、金雀かなりやには蘩蔞はこべがあり、駒鳥こまどりには虫があり、はちには花があり、はえには滴虫があり、蝋嘴しめには蠅があった。彼らは互いに多少相み合っていた。
蘩蔞はこべの葉さへ小さなる
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
緑なす蘩蔞はこべは萌えず
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
アイヌは蘩蔞はこべで頭を、土で身体を、柳で背骨を創られた。とまたいわれている。アイヌの眼窩めのくぼは深い。頭髪が深い。神々の髪の毛の人として彼らはその美髪をほこっている。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
かんながら蘩蔞はこべかしら
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)