藤田ふじた)” の例文
しみじみ云いました通り、私が以前に水戸みと藤田ふじた先生の御存命中に承わった処では、今に世の中がどんでん返しをして、吃驚びっくりする程変ってくる。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
世間で何と受けるか、面白いではないかとうと、年の若い元気の藤田ふじた箕浦みのうらだから、おおいに悦んで草稿をもっかえって、早速さっそく報知新聞の社説に戴せました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その侍は水戸家に仕えた大津地方の門閥家で、藤田ふじた小四郎らの筑波組つくばぐみと一致の行動は執らなかったが、天狗残党の首領として反対党からしきりに捜索せられた人だ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
郷里の画家の藤田ふじたという人が、筆者の旧宅すなわち現在T氏の住んでいる屋敷の庭の紅葉を写生した油絵が他の一点とともに目下上野うえので開催中の国展に出品されているはずだから
庭の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それじゃア田中たなか中間ちゅうげんの喧嘩の龜藏かめぞうという奴で、身体中きずだらけの奴がいるだろう、あれ藤田ふじた時藏ときぞう両人ふたりに鼻薬をやって頼み、貴様と三人で、明日あした孝助が相川の屋敷から一人で出て来る所を
藤田ふじた君?」
夜、武田たけだ本陣にあてられた片桐の問屋へは、飯田方面から、豊三郎が兄の北原稲雄と一緒に早駕籠かごを急がせて来た。その時、浪士側では横田東四郎と藤田ふじた小四郎とが応接に出た。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)