藁布団わらぶとん)” の例文
雪子が折り畳み式になった寝台用の藁布団わらぶとんの上にパンヤの敷布団を二枚重ね、悦子の寝台とほぼ同じ高さに寝床を敷かせて寝るようにした。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
初さんが出してくれたものを見ると、三斗俵坊さんだらぼっちのような藁布団わらぶとんひもをつけた変挺へんてこなものだ。自分は初さんの云う通り、これを臀部でんぶしばりつけた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
山小屋のぢいは、早く雨戸を立てゝ藁布団わらぶとんの中へもぐりこみました。まくらもとには、うす暗い置ランプがともつてゐます。時をり戸のすき間から風が吹きこんで来て、ランプのはゆら/\と動きます。
天童 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
が、人の住んでいるらしい、燈火ともしびの明るい猪小屋を見るや、にわかにそれが感じられた。白湯さゆぐらいはあそこにもあるだろう、藁布団わらぶとんぐらいはあそこにもあるだろう。ほんの少しの間休んで行きたい。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
悦子はローゼマリーのために自分の寝台を空け、自分は雪子の藁布団わらぶとんを借りることにしたのであったが、二人はなかなか寝るどころではなかった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そして、悦子の寝台と、彼女の藁布団わらぶとんの寝床との間に落ち込んで正体もなくうたた寝をしているお春を
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)