はじかみ)” の例文
なぜならば、この時すでに、家康と信康の父子は、内乱者の清掃を一気にかたづけて、疾風のごとく、はじかみはらまで、兵馬をすすめて来たからだった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで臭気が全然去り、かつやわらかになったならば骨を抜きとり肉を薄くきり、鶏汁、酒、酢、はじかみにんにくなどを加え、数時間煮燗して最後に塩と醤油で味をつける。
香熊 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
丁度人参や茯苓ぶくりやうの口当りが甘いのに出会つたやうに、また格調の激越なのを目にすると、まるではじかみや肉桂の辛烈舌を刺すやうなのを味はつたやうに、どちらも内臓を癒すにききめが少くない。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
しかし、この時期における茶の飲み方はきわめて原始的なものであった。茶の葉を蒸してうすに入れてつき、団子として、米、はじかみ、塩、橘皮きっぴ、香料、牛乳等、時にはねぎとともに煮るのであった。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
このはじかみ、口ひび
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「いにしえから、松江のすずきなますにして賞味するときには、かならず紫芽しげはじかみをツマに添えるという。薑はあるか」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肉と臓腑と頭、手、足、甲羅の縁などを細かく刻み込み、これにはじかみを加えて生醤油を注ぎ、炭火で気ながに煮詰めるのであるが、こんな贅沢な佃煮は他にはないかも知れぬ。
すっぽん (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
はじかみヶ原では、先鋒隊せんぽうたいと先鋒隊とのあいだに、二、三度、小ぜり合いがあっただけである。甲軍もさるもの
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)