薄笑うすわらひ)” の例文
『然うでしたか。』と言つて、信吾はだ何か言はうと唇を動かしかけたが、それをめてニヤ/\と薄笑うすわらひを浮べた。月を負うて歩いてるので、無論それは女に見えなかつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「頭を使ふと、體まで疲れるもんですかね。」とお房は馬鹿にしたやうな薄笑うすわらひで。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
亜刺比亜アラビヤ魔法まはふたち薄笑うすわらひ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼は覚えず薄笑うすわらひして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
薄笑うすわらひをして俯向き乍ら歩いて來る彼は、軈て覺束なき歩調あしどりを進めて、白狐龕の前まで來た。そしてはたと足を止めた。同時に『ウッ』と聲を洩して、ヒョロ高い身體からだを中腰にした。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
周三はせいのないやうな薄笑うすわらひをして、右の肩をむツくらそびやかし
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
と鼻の先にしわを寄せて神經的の薄笑うすわらひをした。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)