蒲鉾形かまぼこがた)” の例文
その時、一列に蒲鉾形かまぼこがたった障子を左右に開けると、ランプの——小村さんが用心につるおさえた——灯が一煽ひとあおり、山気がさっと座に沁みた。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
混ぜて冷ましておいてトースパンへ蒲鉾形かまぼこがたに塗りつけて玉子の白身へ浸してパン粉をつけてバターで揚げます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
屋根に蒲鉾形かまぼこがたの丸味を取ったかんのようなもののなかに、髪を油で練固ねりかためた女が坐っている。長柄ながえは短いが、車の輪は厚く丈夫なものであった。云うまでもなく騾馬らばに引かしている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
はば蒲鉾形かまぼこがたの、他奇ない山であるが、その峯の眞上に富士山がのぞいてゐる。
やがて、山を降りて梨畠へ行こうとしたが、正門から這入はいるのが面倒なので、どうです土堤どてを乗り越そうじゃありませんかと案内が云い出した。余はすぐ賛成して蒲鉾形かまぼこがた土塀どべい向側むこうがわりた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)