葡萄圃ぶだうばたけ)” の例文
ゲーテなども、確か驢馬に乗つて葡萄圃ぶだうばたけの間あたりを縫ひながら、それからこけの生えた熔巌の上などを難渋して歩いたのであつただらうか。
ヴエスヴイオ山 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
處々に新に造りたる人家と葡萄圃ぶだうばたけとあり。博士われ等を顧みて云ふやう。この境の慘状をばわれのあたり見ることを得たり。われは猶幼かりき。
カプリ島の級状をなせる葡萄圃ぶだうばたけ橄欖オリワ樹とは忽ち跡を沒して、我等は矗立ちくりふせる岩壁の天にそびゆるを見る。緑波は石に觸れて碎け、紅花を開ける水草を洗へり。
レジナにてうさぎうまを雇ひ、葡萄圃ぶだうばたけ、貧しげなる農家など見つつり行くに、やうやくにして草木の勢衰へ、はては片端かたはになりたる小灌木、半ば枯れたる草の茎もあらずなりぬ。
ヴエスヴイオ山 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
われは山に向ふ看者みての間にはさまりて、されながらも、白き石垣もて仕切りたる葡萄圃ぶだうばたけの中なるこみちを登り行きぬ。衆人は先を爭ひて、熔巖の將に到らんとする部落の方へと進めり。