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落日
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いりひ
胸のくるしさ
空地の
落日あかあかとただかがやけり胸のくるしさ
ここに来て
落日を見るを
常とせり海の
落日も忘れざるべし
青の
鶯が
落日の
檣の森で鳴くやうに……
魚市場
落日あかきに手品師は鍔までもりゆうと
刀を呑みつも
燃えあがる
落日の
欅あちこちに
天を焦がすこそ苦しかりけれ
城ヶ島の燈明台にぶん廻す
落日避雷針に
貫かれけるかも
ライ麦の畑といはず崖といはず
落日いつぱいに
滴る赤さ
興安嶺くだりつくして野は曠し赤き
落日に汽車はま向ふ
なにか見る、
夕栄のひとみぎり
噎ぶ
落日に
濁りたる
看板を、入り残る窓の
落日を。
雲照らふ
落日の
紅に水の絵の
彩も乱れて