菟道うぢ)” の例文
本朝に儒教をたふとみてもは王道わうだうたすけとするは、菟道うぢきみ百済くだら七六王仁わにを召して学ばせ給ふをはじめなれば、此の兄弟はらからきみ心ぞ、やが漢土もろこしひじりの御心ともいふべし。
皇朝くわうてうの昔、七〇誉田ほんだの天皇、兄の皇子みこ七一大鷦鷯おほさざききみをおきて、すゑ皇子みこ七二菟道うぢきみ七三日嗣ひつぎ太子みことなし給ふ。天皇崩御かみがくれ給ひては、兄弟はらからゆづりて位にのぼり給はず。
三とせをわたりてもなほ果つべくもあらぬを、菟道うぢきみ深くうれひ給ひて、あに久しくきて天がしたわづらはしめんやとて、七四みづから宝算よはひたせ給ふものから、罷事やんごとなくて兄の皇子みこ御位みくらゐかせ給ふ。