うだ)” の例文
「昨夜は風呂が立たなかつたので、町風呂へ行つたやうでございました。小半刻經つて、戌刻いつゝぎになつてから、宜い心持にうだつて歸つて來ましたが」
めいめい勝手にその中へもぐりこんでしまう。そして、身動きもせず、うだったように、寝しずまっている。彼らは、すうすう言って眠る。そして汗をかく。
下地したじはよし、折ふしの炎暑に、智深もうだッていたところであるから、一も二もなく、誘いにまかせた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肌でもぬぎたいほど蒸し暑い日だったので、冬の衣裳をつけた役者はみなうだりきっていた。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
さっきも、我々はこの陸地の気候を灼熱しゃくねつした亜熱帯的の太陽が頭上に輝いていると言ったが、まったくそれは西班牙か伊太利のごとき南欧諸国七月初め頃の、うだるような暑熱であった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
第二には、暑中の観客はとかくにうだり易い。その茹り気分を強く刺戟するには怪談などがお誂え向きである。それらの事情から、自然に怪談がえらまれる事になったのであろうと思われる。
怪談劇 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「昨夜は風呂が立たなかったので、町風呂へ行ったようでございました。小半刻経って、戌刻いつつ(八時)過ぎになってから、いい心持にうだって帰って来ましたが」
おや! と私は眼をみはりました。この前三人で水遊びをしたのは、六月の始め頃、飛沫しぶきを浴びるとまだ鳥肌だつ頃だったのです。今は七月も過ぎて八月の五日……うだるような暑さです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
太陽の下でうだって寝込んでしまう。そばを通っても誰も気がつかないくらいだ。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
桶のなつめうだりそうだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八五郎はすっかりうだって、愚痴を言い始めます。
八五郎はすつかりうだつて、愚痴を言ひ始めます。
うだつて?」