苛刻かこく)” の例文
かかる賊民を取り扱うには、釈迦も孔子も名案なきは必定、ぜひとも苛刻かこくの政を行なうことなるべし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
苛刻かこくな現実精神をかの獰猛どうもうな妖怪から、身をもって学んだわけだ、と、悟浄はふるえながら考えた。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
造営までなかなか手が届かぬを定規ていきに背くとて無理に合祀するは苛刻かこくもはなはだし矣。いわく、神官の俸給を増し与えたりとて、即刻何の効験、化育の功績も目に見えるほど挙がらず。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
否な之を軽侮し之を棄却する程の無神的ゴツトロース苛刻かこくは胆大にして且つ冷淡の偽人物にあらざれば之をすことあたはざる為なり。今本篇の主人公太田なるものは可憐かれんの舞姫と恩愛の情緒をてり。
舞姫 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
町家の売物に懸直かけねあるが如しといいしもこの辺の意味にして、『女大学』の濃厚苛刻かこくなる文面を正面より受取り、その極端を行わんとするは、とても実際にかなわざることなれども
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)