芸題げだい)” の例文
旧字:藝題
へらへら踊の女役者は云ひ合せたやうに、何処どこでもさかひの大火と云ふやうな芸題げだいで、具清の人々が火の中を逃げ廻つて死ぬ幕を一幕加へました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「それじゃ明日から芸題げだい替えだ」次郎吉は煙管きせるのホコを払い、「もう玻璃窓に見せたんだから、俺の目的はとげられたってものさ。いつ替えたって惜しかあねえ」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
東西東西とざいとうざい、このところお聞きに達しまする浄瑠璃芸題げだい艶姿女舞衣はですがたおんなまいぎぬ』、語りまする太夫、玉井春昇、三味線徳弥、いよいよ、三勝半七酒屋の段、そのため口上、東西東西」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
いまのご喝采の中には、祝儀はなをやれ! 祝儀の盆を廻せ! ッてなありがたいお声もあったじゃござんせんか。次の芸題げだいにかかる前に、どうですえ、ここらで一つお志をいただいては
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして町のかわるたびに幕をかえ、日をかうるたびに歌舞伎の芸題げだいも取りかえる。そうした小運河はまた近在の小舟でうずまってしまう。その五月の喜ばしさというものはなかった。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
東西とざい東西とうざい、このところお聞きに達しまする浄瑠璃芸題げだい、「艶姿女舞衣はですがたおんなまいぎぬ」、語りまする太夫たゆう、玉井春昇しゅんしょう、三味線お京、いよいよ、三勝半七酒屋の段、そのため口上、東西東西」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
その芸題げだいが面白いので、『名人地獄』とこういうのですよ……わっちはそこで猶予ゆうよなく、木戸を潜って覗いたものです。あッとまたそこで驚ろかされました。何んとその筋が大変物なので。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
のど自慢の天狗連中が、プログラムにしたがって、次々に、得意の芸題げだいを語った。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)