色魔しきま)” の例文
こんなことを、貞操蹂躙ていそうじゅうりんとか色魔しきまとか云って大騒ぎする奴の気が知れない。『洗滌せんじょうすれば、なにごともなかったと同じように清浄になるのだ』
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は恐るべきまた驚くべき色魔しきまなのだ。一切の穢濁を断じて聖浄せいじょうの楽土に住む得道出家とくどうしゅっけの身にてありながら、いたずらにただ肉を追う餓鬼畜生のたぐいなのだ。
あんな色魔しきまのような坊主に、自分の描いたものをやりたくない。わしはそういう性分じゃ。
再度生老人 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
なんだい、お前色魔しきまのくせに、いやらしいわ。大嫌い! さわっちゃいやよ、さわっちゃいやよ……ホ、ホ、ホ、ホ、いい気味だ! わたしが睨むとふるえるじゃアないか。弱い男ね、骨なしだわ。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
老人形師は人形に生命いのちを吹きこむ錬金術師れんきんじゅつしであろう。また、モデル女を誘拐し、監禁する色魔しきまであろう。小説家はこの老魔術師の心を知る人である。知りながら、その妖術のとりことなるのである。
「悪霊物語」自作解説 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
色魔しきま! いるかい?」
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「言うな、色魔しきま!」
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)