“艱(なやま)” の例文
今日(こんにち)の人才を滅(ほろぼ)す者は、曰(いは)く色、曰く高利貸ぢやらう。この通り零落(おちぶ)れてをる僕が気毒と思ふなら、君の為に艱(なやま)されてをる人才の多くを一層不敏(ふびん)と思うて遣れ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
泉水の末を引きて𥻘々(ちよろちよろ)水(みづ)を卑(ひく)きに落せる汀(みぎは)なる胡麻竹(ごまたけ)の一叢(ひとむら)茂れるに隠顕(みえかくれ)して苔蒸(こけむ)す石組の小高きに四阿(あづまや)の立てるを、やうやう辿り着きて貴婦人は艱(なやま)しげに憩へり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
遊佐良橘(ゆさりようきつ)は郷里に在りし日も、出京の遊学中も、頗(すこぶ)る謹直を以(も)て聞えしに、却(かへ)りて、日本周航会社に出勤せる今日(こんにち)、三百円の高利の為に艱(なやま)さるると知れる彼の友は皆驚けるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)