船幽霊ふなゆうれい)” の例文
旧字:船幽靈
そんな、荒浪だの、恐しいあやかし火とやらだの、黒坊主だの、船幽霊ふなゆうれいだのの中で、内の人は海から見りゃの葉のような板一枚に乗っていてさ
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
海に船幽霊ふなゆうれいのあるように、広野こうやの古戦場にも、また時として、武者幽霊むしゃゆうれいのまぼろしが、野末のずえを夜もすがらかけめぐって、草木もれいあるもののごとく、鬼哭啾々きこくしゅうしゅうのそよぎをなし
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あ、船幽霊ふなゆうれいだ!」と、さけぶと、ぎょっとしました。
海のまぼろし (新字新仮名) / 小川未明(著)
万屋 船幽霊ふなゆうれいが、柄杓ひしゃくを貸せといった手つきだな。——底ぬけと云うは、これからはじまった事かも知れない。……商売だからいくらでも売りはするが。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
南はあたたかに、北は寒く、一条路ひとすじみちにも蔭日向かげひなたで、房州も西向にしむきの、館山たてやま北条とは事かわり、その裏側なる前原、鴨川かもがわ、古川、白子しらこ忽戸ごっとなど、就中なかんずく船幽霊ふなゆうれいの千倉が沖、江見和田などの海岸は
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
船幽霊ふなゆうれいのような、あおしょびれた男である。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小父おじさん、船幽霊ふなゆうれいは出ないこと。」
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)