舟楫しゅうしゅう)” の例文
もしそうするなら、京からは琵琶湖びわこ舟楫しゅうしゅうと陸路の便とを兼ね備えた上に、背後の敵の三井寺みいでらも眼中に入れる要はないのであった——。
比叡 (新字新仮名) / 横光利一(著)
この谷が山間の一僻地へきちで、舟楫しゅうしゅう運輸の便があるでもなく、田野耕作の得があるでもなく、村々の大部分が高い米や塩を他の地方に仰ぎながらも
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その周辺の四川山海の自然をことごとく取入れて、景勝けいしょうあんじ、攻守の難易、経営の利害を考え、兵馬の出入、車馬舟楫しゅうしゅうの利便に応じ、本丸、山里丸、二の丸、三の丸などのほか
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
麻布あざぶ古川ふるかわ芝山内しばさんないの裏手近くその名も赤羽川あかばねがわと名付けられるようになると、山内の樹木と五重塔ごじゅうのとうそびゆる麓を巡って舟楫しゅうしゅうの便を与うるのみか、紅葉こうようの頃は四条派しじょうはの絵にあるような景色を見せる。