腹這はらんば)” の例文
恐らくは一人の女が白鳥のころもの中に腹這はらんばいになって、手と足で水を掻きながら泳いでいるのでありましょう。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ひとりうなずいて、大廻りに卓子テイブルの端を廻って、どたりと、腹這はらんばいになるまでに、拡げた新聞の上へ乗懸のりかかって
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは鋼鉄のスケルトンの上に板を渡して、走者はそのうえに、頭を下にして腹這はらんばいになる。うしろに出ている靴の爪先きにスパイクがついていて、それでかじを取るのだ。
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
その倒れた石碑の上に茶色の毛をした犬のような細長い獣が人間の腹這はらんばいになったように寝ていたが、それが小さな帳面を前へ置いて、一心になって見ているようなふうをしていた。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
老人腹這はらんばいになって、何か書見をしている。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そして、不作法にも、モーニングのまま、その上に腹這はらんばいになって、川手氏に話しかけたのである。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
寝台の下に腹這はらんばいに隠れて、ただぼんやりしてるわけにも往かないから、自分のこの使命と立場をときどき思い出しながら本を読んでいるのだが、ふと室内にきぬずれの音がしたような気がして
早やいつの間にか自堕落に、板の間に腹這はらんばいになった。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)