胸襟きようきん)” の例文
けては置かじとささややうにて、心済まねば謂ひも出でず、もしそれ胸中の疑磈ぎくわいを吐きて智識のをしへけむには、胸襟きようきんすなははるひらけて臆病とみえむと思へど
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
裾の長きを引上げて一幅ひとはゞの縮緬にて腰をめ、然る後に衣紋えもんを直し、胸襟きようきんを整ふ、この時用ゐるを腰帯といふ、勿論外形にあらわれざる処、色は紅白、人の好に因る、価値あたひの低きはめりんすもあり。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)