やしな)” の例文
って十人の下僕げぼくやしなうことあたわず。これを省きて漸くその日その日を過すのみに至る。これ武家の禄法を察知する一端というべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
用ひるゆゑ人々にも立られ至つて侠氣をとこぎ有者あるものなり此八五郎が女房は去年病死して跡には女子一人有けれ共最早三歳にもなりければちゝも入らずすこしづつ食事をあたへてやしなひけるゆゑ近所の者後妻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
第三沸には少量の冷水をかまに注ぎ、茶を静めてその「華(一四)」をやしなう。それからこれを茶碗に注いで飲むのである。これまさに神酒! 晴天爽朗そうろうなるに浮雲鱗然ふうんりんぜんたるあるがごとし(一五)
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
形見と思つてやしなふ積りであると話した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)