うべな)” の例文
うべなふべき時にてもまたいなむべき時にても、彼と此とを別たずしてしかする者はいみじき愚者にほかならず 一一五—一一七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そのことも思い出されたが、あの作品に対して作者の態度にそういう立て前があってのこととは当時もうべなわれなかった。
文学と地方性 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
常識ではうべなえぬことですが、世上の噂に従えば、殊更に宝石ばかりをお狙いになるには、何かそれ相応にその方面の御才能が、おありになるのでしょう。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「しかし。——しかし、この間の……」「うたむら」の主人はなおうべなえないように「この間の本郷の芝居の、悪い親同胞おやきょうだいをもったゝめに苦労する若い芸妓。 ...
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
幾多のうべないがたきところがあるが、それに反対して天皇制の維持を主張するものの言議にも、また何故に皇室の永久性の観念が生じまた発達したかの真の理由を理解せず
しかも九州行きをうべなうふうは微塵みじんもない。夫人はいろいろと誘惑を試みたあとで
源氏物語:15 蓬生 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そういって、大いに博士を説いてみたが、博士はうべなってはくれなかった。
三蔵法師の場合はどうか? あの病身と、ふせぐことを知らない弱さと、常に妖怪ようかいどもの迫害を受けている日々とをもってして、なお師父しふたのしげに生をうべなわれる。これはたいしたことではないか!
いへどもどふやら不安心と、うべなひかぬるを、また押して
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
やっぱりうべなえないように私は言った。
寄席行灯 (新字新仮名) / 正岡容(著)
瞼からウロコの落ちたこまかな有様については三日にかき、それを貴方もうべなって下すった通り。
国民がそういう意見をもっていたということすらうべなわれないことである。
が、かれはうべなわなかった。強情にかれはそのいわれなさを主張した。——が、たま/\そのとき、一座のうちでかれにつぐ飲み手とされていた大部屋のある男が、ある日、突然血を吐いて倒れた。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
そういう情緒を高める力をもたない現代の抒情画の本質はうべないかねていたと思う。
日本文化のために (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
が、田代は、にわかにそれをうべなわなかった。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)