聴入ききい)” の例文
旧字:聽入
とんだことさ。』と、ミハイル、アウエリヤヌイチは聴入ききいれぬ。『ワルシャワこそきみせにゃならん、ぼくが五ねん幸福こうふく生涯しょうがいおくったところだ。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
会長の美しい吉井明子よしいあきこ夫人、幹事の今八郎こんはちろうをはじめ、三十六人の会員達は、真珠色の光の中に、歌劇「サドコ」の海中の情景シーンを見るように、静まり返って、怪奇な話に聴入ききいって居ります。
それが余りに不思議な調子と、力強い音色を持っていたので、廊下の隅に陣取った音楽師達は、一時間毎に、弾奏のさなかであっても、しばし手を休めて、我知らずその音色に聴入ききいる程であった。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)